(多分)人類史上初
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牛車ペーパークラフトを作ってみよう
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by 全コ連
牛車とは一女子大生のロマンであります。
どうか皆様めくるめく牛車ワールドをお楽しみ下さいませ。
ご挨拶
突然ですが、皆様は牛車とは何か、ご存じでしょうか。牛車とは平安時代、貴族が移動に使っていた乗り物です。読んで字のごとく牛が引いていた車ですが、馬車の牛版と考えて頂ければよろしいかと思います。おじゃる丸に出てくるあれです。当時の日本にとって馬は貴重な動物であったため、人や荷を牽く動物としては扱われなかったようです。ですので牛車が移動に用いられていたのです。応仁の乱によって貴族が衰退していくのと同時に牛車も使われなくなっていったのですが、牛車は乗り物だけでなく、貴族の権力を誇示する役割もありましたので、豪華な装飾を施されながら、華やかな宮中の貴族達を支えておりました。現代でいえば雛飾りにも牛車があしらわれていますので、よろしければ探してみて下さい。きちんと牛が車を引いております。
さて、そんな牛車ですが、一言に牛車と言っても様々な種類に分かれています。上皇や親王、摂関が乗ることが出来た、屋根のついた豪華で大型の牛車で唐車と呼ばれるものや、身分の高い女性が乗っていた糸毛車、その他、半蔀車や八葉車と呼ばれるものがありました。それぞれの牛車で乗ることが出来る階級が少しずつ異なっていたり、乗降に際して作法があったり、ルールが細かくあったようです。奥が深いですね。面白いですね。学びたくなっちゃいますね。
貴族の生活には欠かせない牛車ですので、物語への登場頻度も非常に高いものです。源氏物語などでは本当によく出てきますね。移動にいつも使っているのですから、当然と言えば当然なのですが。物語の細かな記述から、登場人物がどの種類の牛車に乗っていたと言うようなことまで分かります。私がその事実を知っているということはその細かいことを調べた人がいるということです。私にとったら実に興味深い話ですが、研究者って本当に何をしているんでしょうかね。ツッコミを入れずにはいられませんでした。
そんな話はさておき、牛車は様々な物語で、様々なロマンを生んできました。あるときは光源氏と夕顔との運命的な出会いの場面に立ち会い、あるときは鴨川のほとりで光源氏を巡る二人の女性の車をぶつけ合うというなんとも激しい争いに巻き込まれ、またあるときは小野小町のもとへ百夜通いする男と情熱的な九十九日をともにし、さらには落窪姫と右近の少将道頼との嬉し恥ずかし逃避行を後押ししました。胸が高鳴りますね。牛車の登場シーンなんて他にもいくらでもあります。いくらでもいくらでもあります。牛車は物語には欠かせないものなのです。平安の、雅な文学を支えてきたのです。
牛は歩く速度がゆっくりですから、物語で登場するシーンを思い描いても時がゆっくり流れます。そのゆっくり流れた時の中で、牛車に乗る人物に思いを馳せる事が出来るのです。どんな気持ちで恋しい人に会いにゆき、どんな気持ちで帰って行くのか、そしてどのように和歌を詠んだのか、私たちはそれを考えることが出来るのです。その時代を生き抜いた貴族達の思いに手を伸ばせるとしたら、それはものすごいことなのではないかと思うのです。千年も前の人間の感性を感じることが出来るなんてそうある話ではありません。牛車そのものがもうロマンなのです。今回の企画は一女子大生のロマンなのです。ですので、このサイトを見に来て下さった皆様が少しでも牛車の存在、その奥深さ、ひいては有職故実の、平安時代の貴族達の生活を覗くことの面白さを感じて頂けましたら幸いです。
最後になりますが、一日入れ替わるとしたら誰になりたい?と聞かれれば「平安貴族」と真顔で答え、成人式の振り袖も牛車の柄が気に入ったという理由で決めた私にとって、今回の企画はとても心踊るものとなりました。深く考えずに「牛車が欲しい。」と言った私の発言を形にして下さった先生と、生暖かい目で一緒に牛車を作って下さったプロジェクトの皆様、何を間違えたのかこのページに足を踏み入れて下さった皆様に心より感謝を申し上げます。
それでは皆様、めくるめく牛車ワールドをお楽しみ下さい。
牛車のおねえさん
つくりかた
準備
◼︎用意するもの
・はさみ(あればカッターも)
・のり
・気力
◼︎ペーパークラフトをプリントアウトする
・サイズ:A4
※こどもや細かい作業が苦手な方はA3に拡大してもOK!ただし、コピー用紙だとちょっとフニャっとするかも。
・紙の種類:コピー用紙でOK
→あればケント紙などの少し厚手の紙を使うと◎
→プリンター対応の和紙だと風合いがあって◎◎◎
1. 車を作る
①屋形に簾をつける
★ワンポイントディテールアップ
屋形の物見部分に、図のように切り込みと折り目を入れると、完成した時に車の中が覗けるようになります。
この工程は飛ばしても大丈夫♪
②眉をつける
③屋形をつける
④前板をつける
⑤轅と輪をつける
2.牛をつくる
3.パーツを組み合わせる
おつかれさまでした、完成です!